ハードドライブの年間故障率は2026年第1四半期に1.24%まで低下し、フリートの中で最も大容量のドライブが最も信頼性が高いという結果になった。 20TB以上のドライブは86,000台を超えるユニットで年間故障率0.85%を記録し、フリート全体の数値を大きく下回った。これは、高密度のドライブほど故障しやすいという長年の直感に反する結果である。一方、新たに導入されるドライブの92%が現在20TBを超えており、これはAIワークロード向けのストレージ需要によって押し上げられている。以下の数値は、大規模なハードドライブ信頼性に関する公開データセットとして最も長く続いているBackblaze Drive Statsに基づいている。
要点まとめ
- 2026年第1四半期の年間故障率は1.24%だった(Backblaze)
- これは2025年第1四半期の1.42%からの低下である(Backblaze)
- 2025年通年の年間故障率は1.36%だった(Backblaze)
- これは2024年の1.55%からの低下である(Backblaze)
- 累積の年間故障率は1.30%で安定して推移している(Backblaze)
- 20TB以上のドライブはAFR0.85%を記録した(Backblaze)
- この数値は86,000台を超えるユニットを対象としている(Backblaze)
- 新たに導入されるドライブの92%が現在20TBを超えている(Backblaze)
- 22TBのWDC WUH722222ALE6L4はAFR0.38%を記録した(Backblaze)
- このモデルはフリート内に45,000台を超えるユニットがある(Backblaze)
- 24TBのToshiba MG11ACA24TEはフリート最高のAFR0.22%を記録した(Backblaze)
- データセットは現在13年分に及んでいる(Backblaze)
- AIワークロードが大容量ドライブ導入の要因として挙げられている(Backblaze)
1. 故障率は低下している
2つの独立した指標が同じ方向に動いており、これが単なる一四半期の結果ではなくトレンドと言える理由である。年間故障率は2026年第1四半期に1年前の1.42%から1.24%へ低下し、2025年通年の故障率も2024年の1.55%から1.36%へ低下した。 これは、歴史的にゆっくりとしか動いてこなかった指標としては、いずれも意味のある低下である。一方、累積の故障率1.30%はほとんど動いておらず、これは13年分のハードウェアをまとめて平均しているためである。
| 指標 | 値 | 出典 |
|---|---|---|
| 年間故障率、2026年第1四半期 | 1.24% | Backblaze |
| 同指標、2025年第1四半期 | 1.42% | Backblaze |
| 前年比の変化 | 0.18ポイントの低下 | Backblazeのデータをもとに算出 |
| 年間故障率、2025年通年 | 1.36% | Backblaze |
| 同指標、2024年通年 | 1.55% | Backblaze |
| 前年比の変化 | 0.19ポイントの低下 | Backblazeのデータをもとに算出 |
| 累積の年間故障率 | 1.30% | Backblaze |
| データ系列の年数 | 13 | Backblaze |
累積の故障率が、改善している直近の数値と、より悪かった過去の数値のちょうど中間に位置しているのは、安定した長期平均としてまさに期待される振る舞いであり、この数値は当該年ではなくハードウェアのライフサイクル全体にわたる故障の見込みを推定する際に使うべき数値である。
こうしたパーセンテージを解釈するうえでは規模が重要である。1.24%という年間故障率は、数十万台規模のフリートに当てはめるまでは小さく聞こえるが、その規模になると年間数千件もの個別の故障事象を意味し、それぞれに検知、交換、そしてデータを保護していた冗長性の再構築(リビルド)が必要になる。だからこそ、ストレージ事業者は一般消費者には見えないような0.1ポイント単位の差を気にかけている。大規模なフリートにおける1.42%と1.24%の差は、年間で数百件の対応作業と、それに伴う人件費やリスクを意味する。また、だからこそ水準そのものよりも変化の方向性の方が重要になる。フリートが拡大している最中に故障率が低下しているということは、容量が拡大していても故障の絶対数は横ばいのままである可能性を意味する。出典:Backblaze Q1 2026 Drive Stats。
2. 大容量ドライブほど故障が少ない
これは、10年間ストレージを購入し続けてきた人であれば驚くはずの結果である。20TB以上のドライブは86,000台を超えるユニットで年間故障率0.85%を記録し、フリート全体の1.24%をおよそ3分の1下回った。 ドライブに多くのプラッターを詰め込み、面記録密度を高めるほど故障リスクが高まるという通説は、現行世代のデータではまったく成り立たない。
これを純粋な工学的成果として扱う前に、指摘しておくべき選択効果がある。大容量ドライブはどのフリートにおいても最も新しいドライブであり、故障率は容量にかかわらず若いドライブの方が古いドライブより故障が少ないというバスタブ曲線に従う。したがって、0.85%という優位性の一部は設計ではなく年齢に由来する。86,000台を超える母集団において、この効果だけでその差のすべてを説明できるとは考えにくいが、正直な読み方をすれば、新しい大容量ドライブが、はるかに古いハードウェアを含むフリート全体の平均を上回っているのであって、容量そのものが信頼性を高めているわけではないということになる。
| 指標 | 値 | 出典 |
|---|---|---|
| 20TB以上のドライブの年間故障率 | 0.85% | Backblaze |
| その母集団のユニット数 | 86,000台超 | Backblaze |
| 比較対象となるフリート全体の年間故障率 | 1.24% | Backblaze |
| 相対的な差 | およそ3分の1低い | Backblazeのデータをもとに算出 |
| 従来の予想との方向性の違い | 逆 | 算出 |
| 最大の単一モデルの母集団 | 22TBのWDC、45,000台超 | Backblaze |
| そのモデルの年間故障率 | 0.38% | Backblaze |
| 導入初期段階でのフリート最高の年間故障率 | 0.22% | Backblaze |
指摘しておくべき交絡要因がある。大容量ドライブは同時に最も新しいドライブでもあり、故障率は経年劣化したハードウェアより若いハードウェアの方が故障が少ないというバスタブ曲線に従う。この優位性の一部は容量によるものであり、一部は単に経年によるものであって、このデータだけでは両者をきれいに切り分けることはできない。出典:Backblaze Drive Stats for 2025。
3. フリートは大容量へと集約が進んでいる
購入行動はほぼ完全に変化した。新たに導入されるドライブの92%が現在20TBを超えており、Backblazeはこれをデータ集約的なAIワークロードの増加によるものだとしている。この入れ替わりのペースでは、大規模なフリートにおける20TB未満のドライブの割合は、数回の更新サイクルのうちにレガシーな残存部分となってしまう。
| 指標 | 値 | 出典 |
|---|---|---|
| 新規導入における20TB超の割合 | 92% | Backblaze |
| 挙げられている要因 | データ集約的なAIワークロード | Backblaze |
| 20TB以上のユニット数 | 86,000台超 | Backblaze |
| その母集団の年間故障率 | 0.85% | Backblaze |
| 最大の単一モデル | 22TBのWDC WUH722222ALE6L4 | Backblaze |
| そのモデルのユニット数 | 45,000台超 | Backblaze |
| 最新の高性能モデル | 24TBのToshiba MG11ACA24TE | Backblaze |
| フリート全体の年間故障率 | 1.24% | Backblaze |
運用上の理屈は単純である。台数が少なく大容量のドライブであるほど、ラックスペースは少なく、消費電力は少なく、対応が必要な故障件数は少なく、保存1ペタバイトあたりに管理すべき対象も少なくなる。しかし、見出しの信頼性数値には表れない相殺的なリスクも存在する。24TBのドライブが故障した場合、リビルドの過程で4TBのドライブが故障した場合よりもはるかに多くのデータがアレイ全体を経由して転送されることになり、まさにそのリビルドの期間中に2件目の故障が発生すると致命的な事態になる。つまり、1台あたりの容量が大きいほど故障の発生頻度は下がる一方で、1件あたりの故障の重大性は高まるのであり、これは単純な改善ではなくトレードオフである。事業者はより広範なイレイジャーコーディングと高速なリビルド経路によってこれを補っているが、この算術は述べておく価値がある。なぜなら、年間故障率の低下だけを見ると、実際のリカバリー特性が正当化する以上に、フリートが安全であるかのように見えてしまうことがあるからだ。データセンターに関する文脈は、当サイトのデータセンター統計を参照してほしい。出典:Backblaze 2025 Drive Statsレポート発表。
4. 最高のパフォーマンス、ただしサンプルサイズには注意が必要
個々のモデルの結果は、このデータセットの中で最もよく引用される部分であると同時に、最も誤読されやすい部分でもある。24TBのToshiba MG11ACA24TEはフリート最高となる年間故障率0.22%を記録したが、これは導入初期の段階、つまり短期間しか観測されていない小規模な母集団によるものである。 22TBのWDCモデルが45,000台を超えるユニットで記録した0.38%の方が、数値としては悪く見えるものの、はるかに信頼できる数値である。
| 指標 | 値 | 出典 |
|---|---|---|
| Toshiba MG11ACA24TEのAFR | 0.22% | Backblaze |
| 導入段階 | 初期 | Backblaze |
| WDC WUH722222ALE6L4のAFR | 0.38% | Backblaze |
| そのモデルのユニット数 | 45,000台超 | Backblaze |
| どちらの数値がより信頼できるか | WDCの結果 | 算出 |
| 理由 | サンプルがはるかに多く、観測期間も長いため | 算出 |
| Toshibaモデルの容量 | 24TB | Backblaze |
| WDCモデルの容量 | 22TB | Backblaze |
Backblaze自身も、まさにこうした理由から母集団の少ないモデルには自社のレポートで注意書きを付けており、一四半期だけ観測された数百台規模のモデルが0.00%という、ほとんど意味を持たない数値を記録することもある。部品供給に関する文脈は、当サイトの半導体産業統計を、メモリ価格についてはRAM・DRAM統計を参照してほしい。出典:Backblaze Drive Stats for Q3 2025。
5. このデータで裏付けられること、裏付けられないこと
Drive Statsが並外れて貴重なのは、公開されている同種のデータがほかにほとんど存在しないからであり、その希少性ゆえに過剰に一般化して適用されやすい。これらは空調管理されたデータセンター内で、常時電源が入った状態で、一定のワークロードのもと、専門スタッフによって扱われているドライブである。 毎日電源のオンオフが繰り返され、時々ぶつかったりしながら、ケースファン1つで冷却されるデスクトップのドライブは、まったく異なるストレスにさらされている。
| 指標 | 値 | 出典 |
|---|---|---|
| 運用環境 | 空調管理されたデータセンター | Backblaze |
| 電源状態 | 常時通電 | Backblaze |
| ワークロードの性質 | 一定のエンタープライズ用途 | Backblaze |
| 民生利用への当てはまり | 限定的、下限値として扱うべき | 算出 |
| フリート全体の年間故障率 | 1.24% | Backblaze |
| 累積の年間故障率 | 1.30% | Backblaze |
| 公開データの年数 | 13 | Backblaze |
| 生データが公開されているか | はい、ダウンロード可能 | Backblaze |
この一連のデータセットを本当に例外的なものにしている唯一の点は、Backblazeが要約だけでなく元となるテストデータそのものを公開していることであり、そのおかげで誰でも数値を鵜呑みにするのではなく自分で再計算できる。これは、統計そのものよりもさらに珍しいことである。民生用ハードウェアに関する文脈は、当サイトのPCゲーミングハードウェア統計を参照してほしい。出典:Backblazeのハードドライブテストデータ。
まとめ:数字で見るハードドライブの信頼性
| 指標 | 値 | 出典 |
|---|---|---|
| 年間故障率、2026年第1四半期 | 1.24% | Backblaze |
| 同指標、2025年第1四半期 | 1.42% | Backblaze |
| 四半期の前年比変化 | 0.18ポイントの低下 | 算出 |
| 年間故障率、2025年 | 1.36% | Backblaze |
| 年間故障率、2024年 | 1.55% | Backblaze |
| 年次の前年比変化 | 0.19ポイントの低下 | 算出 |
| 累積の年間故障率 | 1.30% | Backblaze |
| 20TB以上のドライブの年間故障率 | 0.85% | Backblaze |
| その母集団のユニット数 | 86,000台超 | Backblaze |
| 新規導入における20TB超の割合 | 92% | Backblaze |
| 大容量シフトの要因として挙げられているもの | AIワークロード | Backblaze |
| WDCの22TBモデルの年間故障率 | 0.38% | Backblaze |
| そのモデルのユニット数 | 45,000台超 | Backblaze |
| Toshibaの24TBモデルの年間故障率 | 0.22% | Backblaze |
| そのモデルの導入段階 | 初期 | Backblaze |
| 公開データの年数 | 13 | Backblaze |
| 元となるテストデータが公開されているか | はい | Backblaze |
調査方法と出典
- すべての故障率、モデル別の結果、フリート構成、容量データは、Backblazeの運用ストレージフリートに基づき四半期ごとおよび年次で発表されるBackblaze Drive Statsによるものである(2026年第1四半期レポート、2025年年次レポート、2025年レポート発表、2025年第3四半期、2025年第2四半期)。
- ドライブ単位の元となるテストデータはBackblazeによって公開されており、誰でもダウンロードして独自に再計算することができる(ハードドライブテストデータ)。
- データに関する注記:これは業界サンプルではなく、一社のフリートのデータである。Backblazeは価格と入手可能性に基づいてドライブを大量購入しているため、そのモデル構成は市場全体ではなく同社の購買判断を反映したものであり、一部のモデルは意味のある故障率を導き出すには母集団が小さすぎる。同社自身も母集団の少ないモデルには注意書きを付けており、ここで紹介した0.22%というフリート最高の数値を含め、新規導入ドライブの一四半期だけの結果は短い観測期間に基づくものであるため、恒久的な順位として読むべきではない。ドライブは空調管理された施設で、一定のエンタープライズワークロードのもと常時稼働しているため、これらの数値は民生利用の予測というよりも下限値と捉えるべきである。20TB以上のドライブに見られる信頼性上の優位性は、一部は容量による効果であり、一部は経年による効果である。大容量ドライブはフリートの中で最も新しいドライブでもあるため、このデータセットだけでは両者を切り分けることはできない。「算出」と記載されている行は、公表された数値をもとにした計算である。
- 最終更新日:2026年8月2日。Backblazeが新しいDrive Statsレポートを発表するたびに、四半期ごとにこの記事を更新している。